2021年7月2日
ゼントラストの樋口雄一です。
7月1日に国税庁が相続税や贈与税の算定基準となる
2021年分の『路線価』を発表しました。
全国平均では対前年▲0.5%。
東京では2013年以来8年ぶりに下落に転じ、対前年▲1.1%となりました。
不動産にはいろいろな種類の価格が発表されていますが、
路線価を80%で割り戻すと公示価格(とほぼ同じ水準)となります。
『公示価格』とは、国土交通省が土地売買の取引価格の目安として
発表している価格です。
つまり国土交通省が考える時価といえます。
実際に取引される不動産の価格については、
公示価格に近い金額になることもありますし、上下することもあります。
例えば、人気のある土地であれば買い手の競争原理が働いて公示価格よりも
高い金額で取引されます。
また、マンションやビルなどの高い建物が建つ土地(容積率が大きい土地)
についても、公示価格より高くなる傾向があります。
逆に人気のない土地や、戸建用地など高い建物が建てられない土地は、
公示価格よりも安くなる傾向があります。
このように路線価や公示地価から算出した公的価格が実際の取引価格になるとは
限りませんが、毎年発表される公的な価格という点では自分が保有している
不動産やこれから購入を検討する不動産に対する評価の参考となります。
バブルが崩壊し、不動産の保有から利用に価値観が変わった現代の不動産投資
においては、その不動産が生み出す収益から逆算して不動産価格を算出する
『収益還元法』が主流です。
ただし利回りの設定や賃料の評価など、前提条件の設定の仕方によって
計算結果が変わる収益還元法も万能ではありません。
たとえば、
収益還元法では妥当だと思える不動産価格が公的価格からみると
かなりの割高であった場合、現在の賃料が割高である可能性があります。
つまり現在の賃借人が退去した場合には、今よりも安い賃料でなければ
新しい賃借人に入居してもらうことができなくなり、売却時の
不動産価格が下がるリスクがあります。
収益還元法だけに頼るのではなく、昔ながらの公的価格もあわせて調べて
多角的なアプローチを行うことによって、不動産投資の精度が上がると考えます。
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