2020年9月30日
皆さん こんにちは、ゼントラストの浅田です。さて、前回に引き続きの話題です。新卒で不動産デベロッパーに入社し、しばらく経つとメイン担当で仕事を任されることになります。私がいた会社はメーカー系のデベロッパーだったので、関連会社が300社以上あり、それら関連会社の不動産のお困りごとを解決するような部署に配属されました。そんな2年目を迎えたある日、江東区辰巳という、豊洲に近い場所にある古びた倉庫を貸している会社さんから、お声をかけられました。数ヶ月後に借主さんが出ていってしまうので、誰か借りてくれる人はいないか、賃貸仲介の仕事を頼まれたのです。さっそく物件を見にいったところ、駅からの距離は10分ほどであったものの、日光がほとんど入らないために暗く、かつ運河に面しているため、なんとなくジメジメした感じを受けました。例えるならば、廃校になった学校の体育館のような感じです。どうしたものかと思いましたが、募集を開始してしばらく経ったある日、借りたいという会社さんを紹介してくれる仲介会社から問い合わせを受けました。
それは「倉庫ではなく、オフィスとして借りられませんか?」というオファーでした。賃貸不動産と一言でいっても、住宅やオフィス、飲食店など、使い道は多岐に渡ります。ただ、住宅をオフィスとして貸したり、飲食店を住宅として使用することは基本的にはありません。しかし、せっかく興味を持ってくれたお客様候補。いきなりお断りをするのではなく、詳しい状況をお聞きしました。それによると、なんでも借主さんは建築設計事務所で、現在のオフィスから立ち退きを迫られているため、新しいオフィスを探しているとのことでした。でも、なぜこの物件に入居したいの・・倉庫ですよ?とお聞きしたところ、建築設計事務所は大きな模型を搬入することが多いので、天井の高さや入口の広さが通常のオフィスより大きめであることが必須であるとのこと。この倉庫はトラックが入る仕様で、がらんどうの造りになっているため、イメージにぴったりとのことでした。
さて、オーナーさんに確認したところ、少し驚いていたものの、キレイに使ってくれるならばオフィスとして使ってもいい、という返事をいただきました。そこから私の奮闘がはじまります。不動産仲介では、基本的に売主や貸主側の仲介会社(宅建業者といいます)が、借主さんに物件のことを説明する「重要事項説明書」という書類を作成する必要があります。いわゆる取り扱い説明書のようなものです。当時は知識がなかったのですが、調査をはじめるうちに、いろいろな課題が出てきました。まず、法的な問題です。倉庫として使用することを前提に役所に届け出ていますので、オフィスとして使用(用途変更といいます)するために、各所に掛け合わなければなりません。大変なのは、役所は縦割りの組織であるため、いろいろな役所や部署に問い合わせをしなければならないのです。例えば、倉庫とオフィスでは人の出入りの頻度が大きく異なるため、消防法上、スプリンクラーの設置義務がオフィスのほうが厳しいのです(当時)。つまり、重要事項説明書には、「貸主は、借主がオフィスとして使用することを許可するが、借主は、事前に消防署と相談の上、消防法上適法となるように使用しなければなりません」と記載することになります。
法的な問題をクリアするのと並行して、借主さんの希望をオーナーに伝え、調整し、重要事項説明書や契約書にどう記載するかを検討する必要があります。今回のケースでは、倉庫仕様ということから、もともとの電気容量が小さいため、オフィスとして使うにはどうしても暗すぎるという課題がありました。そこで借主さんは、運河沿いという地形を活かし、運河に面している壁をブチ抜き、ガラス張りにしたいという意向を持っていました。さらに、コンクリート剥き出しの壁を、すべて真っ白に塗りたいということでした。つまり、四方向のうち、道路側の一方向しか採光が取れなかったところ、運河沿いの方向をガラス張りにし、さらに他の二方向も白く塗ることで、明るいオフィスにしたいということでした。その大胆な発想にオーナーは驚き(私もびっくりし)ましたが、さすが設計士ということで、工事の内容を細かく事前告知し、オーナーの承諾を得ることを条件にする、という内容で合意し、契約書に盛り込むことができました。もっとも、天井が高いため、オフィスとして使うにはクーラーの電気代が高額になってしまうということでしたが・・。
その設計士さんは世界的に活躍されている方であるため、契約直前はイタリアと国際電話をつないで打ち合わせするなど、オンライン契約の先駆けのようなことをしたのを覚えています。もっとも、こんなにWi-Fiが発達している時代ではないため、なかなかやりとりがスムーズにいかず、やきもきさせられることもありましたが・・。
ネットで検索すると、いまでも設計士さんはお借りになっているようです。ただの古びた倉庫が、イマドキのおしゃれオフィスに変貌を遂げる。賃貸仲介ではあるものの、これも一種のまちづくりだな、と少し感動したのを覚えています。
さて、今回はここまで。次回は、「建物を建ててはいけない地域」に建つ工場の売買仲介の話をしたいと思います。読んでくださり、ありがとうございました。
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